離人症という病気、というか症状がこの世に存在する。
以前の記事でもご紹介したとおり、私の身体にはときどきやってくる。
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聞いたことがある、あるいは自分も経験者という方にとってはよくわかるだろうが、ご存じない方には奇妙な言葉に聞こえると思う、離人症。
1.離人症とは
漢字のとおり、人から離れるような感じがする症状。
具体的じゃないのでわかりにくいだろうが、自分という人間が自分ではない感じ、自分から自分が離れている感じ。
これもわかりにくければ、
地球にとてもよく似た別の星の、自分が住んでいる街にとてもよく似た場所に、自分が突然やってきた、という感じ。
んー、説明をすればするほどドツボにはまる感覚がある。
分かる人には分かるんだけどなあ。
ウィキペディア先生に解説していただきましょうか。
私の言葉で言えば、とにかく違和感のある環境に身を置いた、そんな感じ。
発症の原因のひとつとして極度の疲労もある(by 私の昔の主治医)らしいので、決してどこか遠いところの話でもない。
私も、最初にこいつがやってきたのは、まさに極度の疲労がきっかけだったと記憶している。
2.平昌オリンピックでの日本選手の躍進
平昌オリンピック。
小平奈緒選手が、スピードスケート女子500メートルで金メダルを獲った。
日本女子チームがスピードスケート女子団体パシュートスケート(追い抜き)で金メダルを獲った。
その他にも金メダルはあるし、銀メダル、銅メダルも獲得した日本選手の躍進は素晴らしい。
でも、小平、そして高木美帆・高木菜那の姉妹、菊池彩花、佐藤綾乃のパシュートの4人を観ていて、離人症が思い出された。
スケート競技を「観戦しながら」離人症が思い出されるというのも奇妙な現象だ。
彼女らが、スケート王国オランダ、そしてその昔は圧倒的に冬季オリンピックで強かった国々に伍して戦って金メダル。
決して奇跡的とも思えないほどしっかり勝った。負ける不安がなかった。
悪く表現すれば、気味が悪いほどの深海からヌボっと顔を出した生き物が、勝利をかっさらった感じさえした。
その感覚が離人症だ。
まさか、米国に、オランダに勝つとは。
記憶に残っている映像と大違いじゃないか。俺は今、離人症なのか。
3.特に、オランダとのパシュート決勝
特にそれが強く感じられたのは、パシュート。
身長が低い日本人選手たち。
決勝相手のオランダは、みんなゴツい(すいません)躯体。
見た目だけなら、勝てる感じはしない。
でも、サングラスの奥には、するどい眼光が存在するように思えた日本人選手。
スタートからしばらくリード、しかし中盤はオランダに逆転されリードされた。
これまでなら、
あーあ、強いのはスタートだけか・・・
とガックリ来るところだったろうが、今回は違った。
- オランダは疲れてくる
- 日本はペースを保ち、逆転するだろう
というような、安心感というか、安定感というか、信じている自分がいた。
思えば、スタートから、3人の選手の滑りのフォームの乱れはほとんどない。
とても揃っていた。完璧にコントロールされていた。
その映像が、再逆転を予想させ、安心したのかもしれない。
上にあげた写真がそれを物語っている。
そして結果はその予想どおり。
1秒以上の差をつけて、圧勝だった。
3人がぴったり揃ったフォーム、連携だった。
準決勝までの試合も、ヒヤッとした場面が1回あったが結局は2位のスコアで次の試合に進んだ。
選手たちは1年の300日以上をともに生活し、訓練したのだという。
パシュートは連携しないと勝てない。
スケート、特に短距離の王者である韓国のパシュートは、みっともないと思えるほどの負けっぷり。会見では、仲間であるにもかかわらず、遅れた選手をバカにするコメントを発する選手。
そしてそれに反応する韓国国民。
これでは勝てないだろう。
連携する、息を合わせる、こういう競技では日本選手のレベルが際立って高い。
同じ韓国でも、小平と500メートル決勝で戦った李相花(イ・サンファ)の重圧は大変だったろう。
小平が抱きしめ、友情を確認し合った2人の姿は美しかったと感じた。イ・サンファは癒やされたろう。
韓国の選手たちは、自国の開催、加えて得意な競技、種目ということで、相当なプレッシャ―があったろうと思う。
女子マススタートで銀メダルを獲得した韓国の金ボルムは、金メダルじゃなかったと、観客にひざまずいて謝罪した。
韓国というお国柄もあろうが、銀メダルでも立派だし、そもそも謝罪することではない。
「スケートは、メンタルの競技」
と話していた解説者がいたが、まさにそのとおりだった。
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