佐賀県の武雄市長(樋渡啓祐氏)が、個人情報を流出させた事件がありました。
しかも、彼の職務上、流出させちゃいかん個人情報でした。
(もちろん、個人情報全てが、個人情報保護法に違反する内容であれば流出させちゃいけないわけですが)
公職選挙法では年賀状等が禁じられているのですが、今回流出した個人情報は、まさに年賀状を作成するための住所データとしてパソコンに登録されていたそうです。
件の武雄市長は、武雄市のWEBサイトをFacebookに全面移管したり、図書館にカフェショップを導入したり、職員全員にTwitterアカウントをとらせTwitter行政を展開する等、様々な改革を施してきたことで有名です。
が、私の見方としては、これらが、市長 樋渡啓祐氏の「遊び」にしか見えなかったのが正直な感想でした。彼にとってはまじめな考えだったかもしれませんが、私には危なっかしい、としか思えませんでした。遊びとしてやるんだったらいいんですが、行政としてこれらのことをやってきたのがおかしいな、と思ったわけです。
1.Facebook
まず、市のサイトを「全て」Facebookに移行したのは、間違いなく不適切です。
Facebookは無料で運営されています。広告料等、Facebookという企業自体はもちろん、別のところ(利用者とは別のところ)から収入を得ながら経営されているわけですが、Facebookをユーザーとして利用するのは無料。
その分、いつこのサービスが終了するかもしれないし、サービスを利用するのにある程度の制約が課せられるわけです(ここでいう制約とは、例えば、友だち申請を乱発したらアカウントを停止させられる等)。
そんな危なっかしい土台の上に、24時間365.25日、「行政サービス」を提供し続けなければならない市のサイトを完全移管させたのは、危なっかしくてしょうがない。
武雄市民も、「Facebookって何?」っていうリテラシーレベルの方々も、Facebookという企業に関心を寄せなければならないし、株価の上下に一喜一憂することになるわけです。
Facebookに対し、それなりの対価(税金)が支払われ、サービスの安定的・継続的運用が約束されている、その対価が、通常のサーバーレンタル料等、情報システム運営料に比較し安くなっているなら別ですが。どうなんでしょう?
2.Twitter
最近になってようやく、当たり前に叫ばれるようになったのが、ソーシャルネットワーキングサービス、いわゆるSNSの危険性です。
Twitterも、Facebookと同じく、民間企業により無料で提供されているサービス。Facebookと同じリスクがあります。
そして、Facebookよりさらにやっかいなのが、情報弱者、つまりリテラシーがちょっと低めの人、およびリスクリテラシーが低い人でも簡単に利用できることです。
3.クラウド
そして、さらに樋渡氏のミスは、個人情報をクラウドに保管していたこと。
施政者がクラウドに個人情報を保管するのはちょっと考えにくい。しかも公開設定にしていたとのこと。
クラウドは便利です。その個人情報を複数の職員と共有する、といった利用もできたりするわけですが、その場合でも、その職員を限定する等しなければならないわけです。それが前提です。
しかし、私が想像するに、今回流出した情報は、年賀状ソフトのデータ。行政サービスとしての個人情報ではなかったでしょう。とすれば、公開設定にしていたのが、「遊び」としか思えないわけです。
私と比べたら、ずいぶん遙か上の偏差値をもってしか入学を許されない大学のご出身。しかも、日本ツイッター学会を立ち上げ、会長にご就任。そんな人物が、私でさえ容易に想像できるリスクを抱えた状態での行政展開には、疑問を感じて仕方ありません。
ここにご紹介する本などをしっかり読み込んでいただき、情報化のリスク、SNSの危うさ等、お勉強されてはいかがでしょうか。
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