九州国立博物館に初めて足を運びました。
目的はひとつ、「王羲之と日本の書」展です。
1.森のなかにニョっと姿を現した九州国立博物館
九州国立博物館は行ったことがなく、今回が初めてですので、場所がよくわかりません。
カーナビにセットして、「こんなところにあるの?」なんて言いながら車を走らせていたら急にニョっと姿を現しました。
壮大です。
さすが、国立博物館で最大の敷地面積。
森の中の博物館です。
2.王羲之
知ってる人は知っている、知らない人は「誰、それ?」の王羲之。
読みは「おうぎし」です。
中国の書家、書の世界を作った、すべての書は王羲之から始まるとも言われている人です。
王羲之を知らない人も、楷書、行書、草書は聞いたことがありますよね。それを作った、といってもいいくらいの人です。
私は高校の芸術の授業で書道を選びました。字が下手だったので少しでもうまくなりたいと思ったからですが、美術はめんどくさそうだったこと、音楽は下手くそでしたので、消去法とも言えます。
書道の授業で書の歴史を教えてもらうのが、王羲之や彼の最高の作品と言われている蘭亭序(らんていじょ)、欧陽詢(楷書の書家)、九成宮醴泉銘(欧陽詢の作品)などです。
その王羲之、蘭亭序が九博(九州国立博物館)に来るというのだから、行かないわけにはいきません。
3.蘭亭序
王羲之と日本の書展は2月10日から始まっています。早く行きたかったのはやまやまでした。
が、王羲之にとって主役ともいえる「蘭亭序」がやってくるのは3月13日から。
それを待ってました。というわけで、今日行ってきました。
普段、九博の入場客がどの程度いるのかわかりませんが、今日はすごかったです。
特に、入口からすぐの蘭亭序、列をなしていて、まったく先に進みません。みんな、蘭亭序を目に焼き付けようとしているのでしょう。
そしていよいよやってきた、私の番。
背中がゾッとし、震えました。
「これが蘭亭序か・・・」
と。
ちなみに補足しますと、蘭亭序の本物、あるいは王羲之の真筆(直筆)はこの世にありません。
後世の書家がいろいろな方法でコピーしたものが残っているだけです。
コピーと言ってもコピー機があるわけではありません。書き写したり、薄い紙を載せて上から書いた等などの方法です。
それでさえも価値があるんです。
だから、震えるんです。
せっかくですので、ご紹介しましょう。
はい、これ ↑ が蘭亭序の一部です。
といっても館内は撮影が禁じられてます。
この画像は、出口付近に出店していた特設ショップで購入したトートバッグです。
こんなんですいません。消化不良の方はウェブサイトをご覧ください。
4.「王羲之と日本の書」展に何の価値があるのか
蘭亭序は美しいかと問われたら、「どうだろう?」と私は思います。正直な話。
同じく今日、九博の1階エントランスホールに展示されていた「全九州新春書道展」の作品の方がいい、と思えるところもあります。
でも、蘭亭序や王羲之がすごいのは、それらの作品、芸術が中国はもちろん、日本の書に大きく影響を与えた歴史的存在だから、と言えると思います。
一見の価値を感じたもう1つ。
国宝の「関山号 宗峰妙超筆」に度肝を抜かれます。
これ ↑ をご覧になって、みなさんはどんなことを感じますか。
正直、私は「文字、デカ!」くらいにしか思いませんでした。
が、これを紹介するパネルを読む。
「関」と「山」の二文字の間隔、角度など。
ほほー、なるほど、この文字たちは確かに絶妙なバランスである。
そのパネルの説明を読む前と後では、この作品の見え方がまるで変わってくる。
こういうところに美しさを見出す、というかあらたな美の発見というか。
博物館で偉大なものに触れるという、世界の広がる体験。
王羲之をご存じの方もそうでない方も、まだ九博に行ったことがないという方も。
世界が広がります、これからの人生が豊かになります。
ぜひ行ってみてください。
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