【初稿】2014.02.22
スターバックスが、契約社員800人全員を、正社員として雇用するそうです。
日経新聞が報じました。
正社員化の狙いは「ビジネスの成長に向けた戦略的投資だ」とのこと。
パートやアルバイト、派遣、契約社員といった雇用形態は非正規労働と言われます。
一方、正社員は、正規労働と表現されます。
主に厚生労働省をはじめとする労働行政は、非正規雇用から正規雇用への転換のための取り組みを進めています。
が、はたして、契約社員→正社員は全てにおいて歓迎されるべきことなのでしょうか。
そもそも、正社員は「正規」なんでしょうか。
この言葉にはいつも違和感を感じるんですが、私なりに「正社員化が是じゃない側面もある」と感じることを書いてみます。
正社員とは、期間の定めのない雇用
そもそも「正社員」とは何でしょうか。
定義はありません。いや、いろいろたくさんの要素があります。多すぎます、きっと。
上掲した、スターバックスの事例の場合、あくまで想像ですが、多分、契約社員→正社員の転換は、
期間の定めのある雇用形態から期間の定めのない雇用形態への転換
のみであると考えられます。
※誤りでした。私の憶測のみで書いてしまいました。以下に朝日新聞の記事を引用します。お詫びして訂正いたします。
契約社員は店長を補佐し、正社員並みの時間働く人も多いが、時給制でボーナスはない。1年ごとに契約を更新するので将来の見通しもつきにくかった。正社員になると月給制で、ボーナスも出る。給与総額も増えるという。
給与が上がるわけではなく、手当が付加されるわけでもなさそう。
なので、労働者にとっては、「解雇、あるいは退職の機会がどかんと減る雇用形態に移る」というくらいの意味だと思います。
正社員を解雇する、あるいは退職させるというのは、事業主側にとっては非常に難しいことになります。契約社員の場合、契約満了後に契約を更新しなければいいのですが(それも簡単ではないですが)、正社員の退職となると非常にハードルが高くなります。
そういう意味では、労働者側の安心はあります。
が。
正社員はフレキシブルじゃない労働
途中で辞めたいと労働者側が希望した場合、契約社員なら「契約満了の時点で辞めよう」と思えば、会社都合(制度の都合)での退職となるのですが、正社員の場合は、どうしても自己都合退職となり、雇用保険などに不利な扱いとなります。
フレキシブルな労働契約、あるいは労働日や労働時間の設定など、より自由なスタイルで仕事をしたいと希望している人は少なくありません。人事、労務の現場での実感です。
また、女性の雇用などにおいても、出産や育児というライフイベントをサポートするのはいいのですが、
育児に専念するための退職したいのに、国の制度が、あるいは会社の制度が辞めさせてくれない(あるいはそういう空気が蔓延している)という不満の話も多いです。
正社員になる労働者は覚悟を
正社員化で、契約社員から正社員になる皆さん(スターバックスに限りません)、うかれていてはいけません。
正社員とは、単なる「期間の定めのない労働」だけではありません。
期間の定めを取っ払ってもらったバーターで、業務範囲の拡大や深化、レベルアップが求められるはずです。
給与などの処遇が引き上げられるなら、なおさらです。
あなた方は「戦略的投資」(by スターバックス)ですから、覚悟しましょう。
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