「菅原道真」と言えば、多くの人が太宰府、太宰府天満宮を想起すると思います。
福岡に住む人間には、もっと多くの菅原道真(地元では菅原道真公、略して菅公(かんこう)と呼ぶことが多い)にまつわる場所があります。
今回はその1つ、針摺石をご紹介します。
1.針摺石とは?
「はりすりいし」と読みます。
漢字のとおり、針を摺る石です。
下の画像(右側)が針摺石です。
場所は、九州国立博物館のページをご覧ください。
2.エピソード
針摺石と菅公のエピソードはこんな話です。
針摺石の隣に立っている看板はこちら。
書き起こします。
針摺石
この針摺石には次のような伝説があり、地名の由来になっています。
その昔、太宰権帥(だざいのごんのそち)として左遷されていた菅公(菅原道真)が、天拝山頂で身の潔白を訴えられた帰り、この地をお通りになりました。
そして、老人が斧を石に当てて一心に摺っているところを目にされました。「何にするのが」と問うと、老人は「針にするのです」と答えたそうです。その言葉に菅公はつよく心をうたれ何事も不断の努力がなければ成就しないものだと、再び天拝山に引き返し、天に向かって訴えを続けられたと伝えられています。
「筑前国続風土記(ちくぜんのくにふどき)」(1703年)によるとこの石は、もとは山のふもとにありましたが、近年、この場所に移されたとあります。
※注記…「だざいふ」は大宰府とも太宰府とも表記されます。ここでは特に断りなく両方を使用しています。
3.太宰府天満宮と針摺石
太宰府天満宮は、学問の神様、菅公を祭神とし、学問を修めようとする多くの参拝客が訪れる神社です。
一方、あくまで個人的ですが、菅公が「何事も不断の努力がなければ成就しないものだ」と老人の姿に心を打たれた場所として、この針摺石の方が大切、というかありがたい場所です。
菅公と同じように(というとおこがましいですが)、私は自分を奮い立たせないとやっていけない“生きるのが下手な人”なので、この針摺石に頻繁に足を運び、活力の維持継続、不断の努力を自分に言い聞かせています。
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