重富酒店(正式名称は「ビアスタンド重富」かもしれない)は、広島の酒飲みにはまったく珍しくない存在ですよね、きっと。
立ち飲み、あるいは角打ちと呼ばれる、酒屋の隣にある形態のお店です。
でも、10年住んでいた私には行く機会がありませんでした。
だって、営業時間が17時〜19時となるとねぇ。
広島を離れたあと、行く機会ができましたので行ってきました。
1.行列
私が行ったのは、とある木曜日。
16時過ぎに、まずは場所を確認しに行きました。
アルコールメーカーの営業ではないか、と思われるサラリーパーソンが若手を引き連れて店主、店員としゃべってました。
場所は確認できた。
用事を済ませ、16:30頃、まだ早いよなー、と思いながらも「たしか待つ客のために長椅子が置いてあったはず」とお店に再訪。
するとなんと、すでに4名の客が並んでいるではありませんか。
平日の16:30ですよ!
さすが、噂に聞く重富です。
2.いよいよご対面
店主(あるいは注ぎ手)が気を利かせてくれて、定刻の10分ほど前、16:50頃には店を開けてくれました。
後ろにはさらに5〜6人の列が出来てたかな。
私のひとつ前にならんでおられた、多分同年代と思われる女性。
「観光でいらっしゃったんですか?」
でかいカバンを持ち、無精ひげを生やしていたからでしょう。
「10年広島にいて、久しぶりの帰省です。初めてなんですよ」
「そうなんですね。私も3回目なんですよ」
こういう、見知らぬ方との会話も、立ち飲みの魅力ですよね。
メニューはこれだけ。
生ビールをどういう注ぎ方にするか、それだけ。
つまみは無し、持ち込みもダメ。
おかわりは2杯まで。(この場合のおかわりとは、普通に2杯目を注文するという意味)
店名の付いた「重富注ぎ」を注文するも、
「普通のお店の注ぎ方ですけど、いいですか?」
「重富じゃなきゃ飲めないのってどれですか?」
「うちだけというのは無いけど、日本に10店くらいしかやってない壱度注ぎですかね」
「じゃあ、それで」
というわけで、壱度注ぎ。
グラスを氷水にドブ漬けし、さっと取り上げてふきんで拭い、ピカピカに洗浄されたサーバーから一気に生ビールを注ぎ、溢れ出る泡をグラスの口の部分からナイフ的なもので切り取るように捨てる。
グラス、ビールそのものがしっかり冷やされてますから、家庭で缶ビールから注ぐときほどに泡は立ちません。
しばらくすると、あわが落ち着いてきて、こんなふうに決まります。
「壱度注ぎは、お風呂のあとに牛乳を飲むがごとく、足は肩幅、手は腰に」
という注ぎ手の軽妙洒脱なトークが場を盛り上げます。
3.さて、味は?
ふた口でした、飲み干したのは。
500mlくらいだったでしょうか。
さて、味はどうだったか。
うん、美味しいのは間違いない。でも、惜しい感じもする。
きっと、多くの人にはもっと美味しいと感じられると思います。
でも、その日の私には理由があったように思われます。
- 重富に来る前に、別のお店でシードルを軽く飲んでいた
- ビールの銘柄の好みが違った
重富酒店の生ビールは、多分アサヒスーパードライです。
スーパードライは、私の舌には合わないんですよね、幼少の頃から(20歳到達直後の頃から、という意味ね)。【逆にスーパードライを好きな方は、すごく美味しく感じられると思います】
それでも、ここまで美味しく飲めたのは、重富ならではと言えるとも思えます。
注ぎ手の技術と秀逸なトーク、おもてなしが、重富ブランドの魅力ですね。
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